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「JINの今後に期待する」


慶応大学環境情報学部教授  斉藤信男

 JINが今度新しい組織によってそのサービスを強化し、わが国でともすれば欠けていた海外への発信が充実してくるという。戦後60年という節目に、このような快挙が見られるのは、心強い限りである。
 TVや新聞などのマスコミで連日取り上げられる60年前のわが国の状況やその後の懐かしい映像などを見ていると、この国の今後のあり方や方針、戦略をじっくり考える事が必要だと感じられる。変化の激しいことを常に実感しているが、60年という歳月の中で起こった変化は、それまでの歴史の流れの中でも一段と激しいものがあろう。
 わが国が経済大国2位にまでなったのは、いろいろと理由も挙げられるが、近代産業をまともに追求し、物つくりに励み、世界中で売れる商品をどんどん提供したことが最大の理由であろう。それをバックアップしてきた科学技術は、今では世界の一流に仲間入りしたと言えよう。
 それでは、この状況がいつまで続くのだろうか?20世紀は、科学技術の時代と言われ、米国主導で進んできた。21世紀もおそらく同じ事になりそうであるが、産業も含めて急速に台頭してきたアジア地区が重要な役割を演じそうだ。私の専門に関していえば、情報技術(IT)はインド、中国、韓国などが急速に伸びており、日本のITエンジニアに比べて、これらの国々の人材ははるかに優れていると言われている。人材育成に携わってきた身としては、忸怩たる思いである。インドや中国の人口を考えると、もう日本は駄目かとつい悲観的になる。米国やヨーロッパも、勿論競争相手として手ごわい。日本の生き残る道はあるのか、明るい未来はやってくるのか真剣に考えねばならない。
 すぐ思いつく課題は、3つほどある。知的生産性の高い人材の育成、産業イノベーション、グローバルな思考の徹底が、それである。労働生産性を向上させることは、経済成長には必須であったが、21世紀の知価社会では、知的生産性の向上こそ最重要であり、それを実現できる人材を如何に育てるのかが課題となる。また、そのような人材が作り出す知財を使った新しい産業のイノベーションは、経済の国際競争に勝つための必要条件であり、現在の物つくり中心の産業を大幅に変えていかねばならない。その際に取るべき思考は、初めから地球規模に基づいたグローバルなものでなければならない。
 このような現在の状況でJINに期待する役割は何であろうか?JINは、日本からの発信を第一の役割として持つ。グローバルな思考を持つ知的生産性の高い人材が、新産業のイノベーションに打ち込む状況は、どの国でも必須となるであろうが、それをわが国が先導していく。その状況を発信できれば、たとえば新産業の主導権を握れる。また、近い将来、JINの発信に基づいた相互交流が期待できる。インターネット上でBLOGなどを使った相互コミュニケーションが地球規模で行われていけば、次世代の人材にとって限りなく刺激的である。いつもグローバルに発想することが日常茶飯事になり、しっかり身につく。良い発信をしなければ良い情報を受信出来ない。その意味では、JINの今までの実績は非常に重要であり、有益な相互交流が必ず実現できるであろう。我が国が今後の国際社会で生き延びていくためには、JINは必須の事業なのだ。